この記事では、私が大好きなアメリカの若手兄弟バンド「The Lemon Twigs (ザ・レモン・ツイッグス)」の、デビューアルバム「Do Hollywood」の曲解説と感想を書いていきます。
「まずThe Lemon Twigsってどんなバンドなの?」と思った方は、ぜひこちらの記事も併せて読んでみてください!
「Do Hollywood」の全体的な感想
このアルバムが発売されたのは、2016年。つまり、メンバーの兄弟2人はそれぞれ若干19歳と17歳でした。初めて聴いた時は「その若さで、しかもデビューアルバムでこの完成度なのか!」と驚かされました。
収録曲から漂う、遊園地の世界のような雰囲気が心を弾ませます。彼らはマルチプレイヤーですが、その中でも特に印象に残ったのはピアノやキーボードの音色で、その使い方・弾き方が独特かつとても美しいんです...!
収録曲10曲中ほとんどが恋愛の歌で、それもどちらかと言うとネガティブな感情を持った恋愛の曲です。
曲解説・感想
それでは早速、1曲1曲の解説・感想を書いていきます!YouTubeに動画があるものは、そちらのリンクも載せておくので、ぜひ聴いてみてくださいね!
I Wanna Prove To You
ボーカルは兄のBrianが担当。The Lemon Twigs を知らない人が初めてこの曲を聴いたら、「60年代・70年代の曲?」と思ってしまうかもしれません。それくらい、メロディーラインやアレンジにどこか懐かしさを感じられる1曲です。
タイトルが「君に証明したい」と訳される通り、「自分を好きになってほしい!」と、好きな相手に送るラブソングです。しかし、サビの最後に「I guess you're just not the one for me (君は僕の運命の人じゃなかったのかもしれない)」と言うように、結局は相手に振り向いてもらえないんです。ちょっと切なさも感じられる美しいメロディーの曲です。
ちなみに、PVは監督であるNick Roney の本当のおじいちゃん・おばあちゃんと撮影していますが、オチが面白くて、監督はおじいちゃん・おばあちゃんをThe Lemon Twigs の2人に取られてしまいます笑 そんなユーモア溢れるPVも見所の1つです。
Those Days Is Comin’ Soon
ボーカルは弟のMichaelが担当。メロディーが、まるで自分が遊園地かサーカスの中にいるかのような錯覚に陥れさせます。全体的に早口で捲(まく)し立てられるような曲で、正直どこがサビかよく分からなかったです笑
内容は、大まかに言うと「君のことが好きだけど、別れても構わない。でも本音はそんなのは嫌だ」という感じです。 要するに、強がりな人の恋愛における心情を表した曲だと、私は解釈しました。
Haroomata
ボーカルは兄のBrianが担当。全体的にかなり高音で歌われている、穏やかな曲調の曲です。歌詞は失恋した男の人の胸の内を語った内容で、痛みがあって辛いけれど前に進むしかない、という感じです。
タイトルの「Haroomata」は恐らく、The Lemon Twigs が作り出した造語なのでどういう意味かはわかりませんが知りたいです!笑
Baby, Baby
ボーカルは弟のMichaelが担当。「自分は恋人に対して怒ってはいないけれど、相手は怒っている、でもそれがなぜだかは分からない」、と歌っている曲です。1分30秒辺りから始まる間奏が、まるで遊園地で流れていそうなメロディーです。
個人的には、サビのインパクトがあまり無いのでもう少し盛り上がっても面白いかな?と感じました。...が、このアルバムを何度か繰り返し聴いているうちに、ある時急にこの曲のメロディーが頭にパッと流れてきて、びっくりしました...笑 結構中毒性のある曲だと思います。
These Words
ボーカルは兄のBrianが担当。独特なリズムのドラムから始まり、少しキテレツなキーボードのメロディーに続く面白いイントロです。「こんな言葉は自分の魂(たましい)には何も響かない。こんな言葉は穴を埋めることしかしない」。これがサビの歌詞です。少し抽象的で分かりにくいですが、私の解釈では、「自分のことは自分がはっきり分かっているから誰かに囚われたり付いて行く必要はない」というようなことを表現しているのだと思います。
メロディーは、曲が進むごとにコーラスが加わり、段々と厚みを増していきます。うねうねと動くベースラインが、聴いていて心地良いです。私の中では、アルバムで1番好きな曲です!
PVは、歴史的なスタイルにコスプレした2人が見ることができて、見ていて楽しいです!ピアノ、ドラム、ギターなど色々な楽器を見事に弾きこなす2人がかっこいいですね。
As Long As We’re Together
ボーカルは弟のMichaelが担当。彼の独特でクセになる歌声が魅力的な曲です。サビで「僕たちが一緒にいる限りは何も問題ないんじゃない?」と歌っているように、ストレートなラブソングとなっています。サビで一気に盛り上がる感じが最高に痺れます!2回目のサビ後の間奏のキーボードの旋律が可愛くて好きです。
PVでは、メンバーの2人が砂漠の真ん中のような所でパフォーマンスしています。Michaelの奇抜で個性的なファッションが曲と合っていていいですねー。
How Lucky Am I?
ボーカルは兄のBrianが担当。美しいピアノの伴奏から始まるバラード調の曲。1番の歌詞は、「(君が自分を好きでいてくれて) どれほど自分は幸せなんだろう?」と、自身に問い掛けるような、幸せ溢れるものですが、2番ではそれが何だかネガティブな感じに変化します。自分は相手(恐らく恋人) を傷つけてしまうし、それでその人は泣いてしまう。そして何百万の思い出すら、自分の胸(の傷?)を縫うことは出来なかった、と。最後はハッピーでは終わらない曲です。
でも、美しくて儚いメロディーのお陰で、聴いていて穏やかな気持ちになれる曲だなー、と感じました。
Hi+Lo
ボーカルは弟のMichaelが担当。こちらは一変、魔術の世界に迷い込んだような感覚になる面白いイントロから始まります。サビは、「君のためにハイにもロー(テンション)になるよ」と歌っています。サビでいきなりスピードが上がり、リズミカルで口ずさみたくなるようなメロディーになるのが楽しいです!Michael の重厚感ある声が軽快な楽器の演奏とぴったりです。
Frank
ボーカルは兄のBrianが担当。イントロが1分50秒ほどと長めで、メインパートの曲調が何度か変わり壮大な印象です。「自分がもっと賢かったら、流してきた涙も気にしないでいられるけれど、自分はまだ子どもだし怖がりだ、だから僕を傷付けないで」と請うような内容の曲です。
A Great Snake
ボーカルは弟のMichaelが担当。サビが「Ba da da da dum dum dum dee dum」だけで、言葉が無いのが面白いです。イントロからリラックスした感じのメロディーですが、その他のメロディーは正直、何度か聴かないと頭に残らなかったです。
既に恋人がいる好きな人に対しての気持ちを綴った曲で、「君のことを盗もうとしている訳じゃないんだ」と最後の方で繰り返しています。
最後に
いかがでしたか?The Lemon Twigs の表現力や演奏技術の高さ・どこか抽象的で切ない歌詞・中毒性のあるメロディーがThe Lemon Twigs らしさを最大限表しているアルバムではないかと感じています。彼らが10代にして作ったこの大作、ぜひ何度も味わって聴き込んでみてください!
もしこの記事を読んで、「この曲の和訳を知りたい!」などのリクエストがあればぜひコメント欄で教えてくださいね!
次回は、The Lemon Twigsの2ndアルバム「Go To School」の解説・感想についての記事を書こうと思います!